猫白血病ウイルス(Felv)陽性です と言われたら(後編)
こんばんは、大丈夫ちゃんです。
本当は昨日記事を更新するつもりでしたが、夜勤を終えて帰ってきてシャワーを浴びてからの記憶がなく、気付いたら夜になっており、たくさん寝て元気になってしまったのでそのまま夜更かしをし、朝の3時に寝たので更新する暇がありませんでした。もうグチャグチャです。地獄。
でも、まだ大丈夫です。
さて、猫白血病ウイルスとは、いつ検査をすべきで、どのように感染し、どのように広がり、どのように発症するかは前編で解説しました。
後編では、
猫白血病ウイルスにかかったらどんな症状が出て、どんな治療をしたらいいの!?!?!?!?
を、解説します。
とは言っても、猫白血病ウイルスには決まった症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、体が熱っぽい など、漠然としています。
なので、おうちでのネコチャンの様子を見て「これは猫白血病ウイルスだ!」と気づけることは少ないでしょう。大事なネコチャンの食欲・元気が無くなったら、とりあえず病院へ連れて行ってあげましょう。
前編で、「わたしが猫白血病ウイルスの検査をするのは、猫白血病ウイルスを発症していそうだなーと思ったとき」と書きました。
猫白血病ウイルスを発症していそうだなーと、いつ思うんだよ!
前編を読んでくださった飼い主様は、こう思ったに違いありません。
そこで、わたしの偏見にはなりますが、猫白血病ウイルスを疑う症状ランキングを発表します。
1位👑リンパ腫(特に胸腺型)
2位👑白血球が下がったとき(免疫抑制)
3位👑貧血
です。
猫白血病ウイルスは、感染すると、骨髄に移動します。
骨髄とは、赤血球、白血球などの血球を作っている場所です。
ここで猫白血病ウイルスが悪さをすると、
- リンパ球が腫瘍化する(リンパ腫)
- 白血球が正しく作られなくなる(免疫抑制)
- 赤血球が正しく作られなくなる(非再生性貧血)
- 間違って自分の赤血球を壊してしまう(自己免疫介在性溶血性貧血:再生性貧血)
などの事態が起こってしまいます。
わかりやすくいうと、免疫システムがグチャグチャになります。
リンパ腫は本当によく見かける腫瘍です。
猫白血病ウイルスを持っているネコチャンと、持っていないネコチャンでは、持っているネコチャンの方がリンパ腫の発生率が高いことがわかっています。リンパ腫について解説しようと思うと、本が1冊かけてしまいそうなので、またこちらは後日別の記事で…
白血球は、好中球やリンパ球、好酸球などの免疫細胞の総称です。
つまり、病原体が侵入してきた時に第一線で戦ってくれている細胞です。
この白血球が体から少なくなると、病原体に簡単に負けてしまいます。
しかも厄介なのが、そこらへんにいるような常在菌にも負けます。普通なら治るような歯周病が悪化したり、膀胱炎が悪化したり、猫風邪が治りにくく、長引いたりします。
先生!治してください!
残念ながら、体に一度侵入した猫白血病ウイルスを完全に排除することはできません。
なので、基本的には、対症療法(その時ネコチャンを苦しめている症状に対しての治療)を行なっていくことになります。
例えば、リンパ腫なら抗がん剤治療。
猫風邪がひどいなら抗菌薬治療、命を脅かすほどの貧血があるなら輸血。
猫白血病ウイルスの感染そのものを治療するのではなく、ネコチャンの生活の質を下げないように、治療をしていくことになります。
通院もネコチャンのストレスになるでしょうから、担当の獣医さんと、どこまで治療を頑張っていくのか、その都度相談しながら決めていくのがいいと思います。
猫白血病ウイルスが治らないことは分かったけど、感染後は何を気をつけたらいいの?
まず、今まさに猫白血病ウイルスに感染しているネコチャンは、ただでさえ免疫システムがグチャグチャになっているわけですから、常になんらかの病原体から感染のリスクに晒されています。
なので、飼育環境を整えることがまず一番大事です。
具体的には、野良猫と喧嘩をしないように完全室内飼育にする、トイレを清潔にする、ノミダニなどの寄生虫対策をしっかりする、適切な栄養をとる。
猫白血病ウイルスの感染パターンには、
①やばい(進行性感染)、②このままいけば治るかもしれん(退行性感染:元気だけど検査したら引っかかったケース)、などがあると前編でもお伝えしました。
今まさに感染しウイルスが体で暴走している①進行性感染 の場合、免疫システムがグチャグチャですので、感染から体を守ってあげることが大切なのはもちろんです。
が、②このままいけば治るかもしれん(退行性感染:元気だけど検査したら引っかかったケース)のネコチャンも、強いストレスをうけると免疫が下がってしまい、ウイルスの暴走が始まって①進行性感染 に移行することがあるので、注意してあげましょう。
ウチのカワイコチャンには絶対に猫白血病ウイルスを感染させたくないんですが???
猫白血病ウイルスワクチンを接種しましょう。
ただし、猫白血病ウイルスに罹ってない母親から生まれた、外に行かないネコチャン=感染リスクの低いネコチャンであれば、必ずしも必要ではありません。
外に遊びにいくネコチャン、猫白血病ウイルスを保有しているネコチャンと同居しているネコチャンなど、感染リスクの高いネコチャンは、猫白血病ウイルスのワクチン(5種混合ワクチンに含まれています)を接種しましょう。
具体的な接種スケジュールは
2ヶ月齢の時に1回目の接種 → その1ヶ月後に2回目の接種 → その1年後に再接種
その後は2、3年ごとに接種することが推奨されています。
まとめ
- 猫白血病ウイルスは、ネコチャン同士で簡単にうつるウイルス
- ウイルスが暴走すると、ネコチャンの免疫システムをグチャグチャにする
- ウイルスが暴走せずに潜んでいるだけなら、発症しないで元気に暮らせる
- ただし、ウイルスが体から完全にいなくなることはない
- 猫白血病ウイルスを発症すると、リンパ腫や免疫抑制、貧血などが起こる
- 猫白血病ウイルスを体から排除するような治療法は存在しない
すみません。眠気の限界です
ここまでで、何か分からないことはありましたか?
獣医さんの言っていることが結局よく分からなかった時に読むブログなのに、このブログを読んでもよく分からなかったら意味がありません。
なるべく噛み砕いて解説したつもりですが、質問があればお気軽にコメントしてください。
私の勉強にもなります!
猫白血病ウイルスについてはここまでになります。
恐ろしいウイルスです。知識を深めて、大事なネコチャンと健康に暮らしましょう!
おやすみなさい。